公開: 2021年4月28日
更新: 2021年5月18日
1992年11月の大統領選挙に勝利したクリントン大統領候補とゴア副大統領候補は、1992年12月、アーカンソー州リトルロックに、著名な知識人を集め、新政権として米国のどのような問題について、どのような政策を進めるべきかについての意見聴取を行った。その重要なテーマの一つが、米国経済の回復であった。そこでは、対日経済戦争をどのように戦うべきかの議論も含まれていた。対日戦略について、意見を求められたのが、AT&T社のグレン・フクシマであった。
特に、クリントン次期大統領が全ての参加者から意見を聞いたのが、「米国通貨のドルの価値を維持することは、米国民にとって意味があるか」と言う質問であった。ほとんどの識者は、「ドル高は、米国市民が世界中から物品を買うとき、有利になるので、維持することがのぞましい」と述べていた。その後のクリントン政権の実績を見ると、この識者達の発言は、事前に政権幹部との間で調整されたもののようであった。市場関係者は、これらの発言を聞いて、「ドル高が維持される」と予想したからである。